ここでは、いろいろな私の仕事を通じて、お問合わせいただいた内容に対する回答の概要を記載いたします。ご参考にしてください。
海外生産を考えています。具体的な進め方や注意点はどんなことがあげられますか?
日本の人手不足から、海外で生産する手段は一つの方法ですが、事前にいろいろ検討すべき課題があります。
1.海外生産の目的や理由を明確に
海外生産を行うには、いろいろなリスクがありますから、目的や理由をしっかり検討しておく必要があります。言い換えれば、それなりの覚悟を持つ(リスクを取る)ということでもあります。
2.海外生産の方法
海外生産を行う場合、自社の工場をつくり生産、合弁会社で生産、現地企業に生産を委託する方法などがあります。一般に合弁(現地51%以上、自社49%以下)のケースが多く、現地企業の工場を利用するので海外生産が比較的早くできるというメリットがあります。
3.製品の販売先と生産数量を十分調査し分析
海外生産国(以下現地といいます)で生産した製品をどこに販売するかを決めることです。現地で販売する数量、日本に逆輸出する数量、第三国に輸出する数量といった具合にです。この検討によって、どの国または地域で生産することが望ましいか2〜3案に絞ります。
4.事業計画を作成すること
現地生産品の採算性、設備投資額、人員計画など事業計画を作成します。また、この段階での事業計画には必要な数値や情報が不明なところがありますから、仮のデータを置きます。そして、この事業計画が可能かどうか現地調査を行うことになります。
5.現地調査の実施
現地の法規、優遇措置、工場予定地周辺の環境、インフラ、従業員の採用難易など調査項目は多数にのぼります。数名からなる調査チームを編成し、必要な調査とデータの収集を行います。一般に「企業化調査」(Feasibility
Study:FS)とも呼ばれています。
6.工場計画と工場建設
自社の工場を建設する場合、工場計画と工場建設が必要になります。現地生産条件(機種や数量の生産販売計画、操業条件、工場敷地形状やインフラなどの現地調査資料に基づきサイトレイアウト(工場配置図)、工場レイアウトなど作成して、設備計画、投資額、人員計画などを立案します。
工場建設は、現地進出の日系企業に発注するか、現地企業に発注するかなど事前調査が必要です。
7.合弁会社による生産
合弁会社の選定に当たっては、経営者(パートナー)の経営姿勢(方針)や人柄など多様な面から調査する必要があります。パートナーと経営方針が合わなかったり、企業の経営状態の開示が全くされないなどから、撤退を余儀なくされた話は数多く聞きます。
8.技術流失の問題
最近の話題として、技術流失の問題や流失を防ぐ方法などの問い合わせがあります。結論からいえば、現地生産に必要な技術やノウハウは、提供しなければ現地生産品の品質は日本並みになりません。さらに、現地に提供した技術資料は、現地の技術者に占有されて他社に流失(又は本人が転職)することが予想されるので、このような状態が生じることを前提にその対策を考える必要があります。(この具体的な対応策は別途ご相談に応じます)
9.日本での技術、技能研修
現地生産品の品質確保などのため、日本の工場(マザー工場といいます)で研修させることもよく行われています。これは、日本の技術や技能を習得してもらうための手段ですが、当然日本の技術ノウハウが流失することになります。ある意味では、お金を出して流失を手伝っていることになります。さらに、日本企業の研究開発部門や技術部門などで働く外国人技術者たちは、仕事を通じて先進技術を習得することになります。習得した技術は、退職後現地国の技術者として活躍することになります。これも技術流失の一例です。
10.海外からの撤退
中国に進出したが、いろいろな理由でやむを得ず撤退を余儀なくされたという話は少なくありません。当初の事業計画が狂ってきたとか、予定の利益が得られない、大幅な赤字が続くなどの場合、撤退を考えなくてはなりません。現地から撤退は大変な困難が伴います。早く言えば、大きな損失を覚悟しなければならなくなります。したがって、海外進出計画段階で撤退条件を決めておくことも重要な要素になります。
海外で生産を行う場合、どんな方法がありますか?
福島技術士事務所は○○○○○○○○を専門とする○○○○○○○
CS
- はじめにCONCEPT
- 目次SERVICE&PRODUCTS
- 監督者の役割NEWS&FAQ
- 問題解決編COMPANY
RECRUIT
- アクセスACCESS
- お問い合わせCONTACT U
海外進出の方法には、いくつかの手段が考えられます。次の例を参考にしてください。
1.自前の工場を建設する
全額自己資本で現地法人を設立して、新工場を建設するものです。ただし、海外では、自由に生産できる場合は少なく、業種が限られたり、いろいろな条件(例えば、一定の製品の海外輸出など)が付けられている場合が多いようです。しかし、このような制約条件はだんだん少なくなってきています。どこの国も企業誘致には積極的です。
2.合弁会社を設立して、工場を建設する
現地の企業(経営者)と共同で合弁会社を設立して生産を行うものです。この場合、日本側の出資条件は過半数を超えないようになっています。すなわち、現地51%、日本側49%が最大ということになります。現地の経営ノウハウや現地の法律を知らなくてもすぐに生産が可能です。ただ、合弁会社の経営権は現地側になるので、経営方針などへの口出しは難しくなります。この現地パートナーとの関係がうまくないといろいろなトラブルが発生してきます。
3.現地企業の工場を借りる
現地の企業の空き工場建屋を借りて生産することも行われています。この場合、日本側は材料や部品の供給、必要な生産技術の供与で、出資などは行わない場合です。一般に「委託生産」と呼ばれています。生産品を全量引き取る場合や生産と販売は現地が主体的に行う場合などがあります。現地生産品を日本に輸入することが主体である場合、日本側の負担やリスクが少ないなどの利点があります。現地との契約が重要になります。
4.現地企業の買収による進出
同業種の現地企業を買収して進出する場合があります。、その企業の工場を利用したり、新工場を建設して生産を行うものです。従業員や管理者を引きつぐことで、人材の確保ができる利点があります。ただ、買収資金などの問題や現地企業の損益問題などがありますから、事前に十分検討する必要があります。
上記が主な海外生産の手段の事例です。海外進出は、想定外のいろいろなリスクがともないますから、事前の十分な情報取得や社内検討が必要です。
中国で製品の製作と販売を考えています。現地のメーカーに委託生産を行う場合の注意点など中国で仕事をする場合の検討すべきことは何ですか?
海外で仕事を行うには、先ずその国のことをよく知ることが大原則です。特に中国は民主主義国ではないこと、中国共産党の国であることなどよく理解することから始めなければなりません。
1.中国の国土は広い
中国3000年歴史の皇帝ドラマは、大変おもしろい。その中で興味を引くのは、一族のつながりで、特に血のつながる一族の絆は強く、個人的な関係を大切にするところにあります。次に、欠かせないのがお酒です。乾杯(かんぺい)は、中国で仕事をするには大変重要な接待です。また、日本人から見ると、中国人は企業に対する忠誠心は低く、生き残るためには自分の非(ミス)は認めず、他人にその責任を負わせることに何の抵抗もないように見えます。国土が広いため、言語(方言)が少しずつ異なり、民族文化や考え方も違いがあり、料理もさまざまであることはよく知られていることです。
2.「お金」と転職
中国では、男女平等で女性が生き生きと働いています。日本的な視点で仕事をしてはいけない点です。さらに、中国人の行動の基点は「お金」であると考えておくことです。より高い賃金を求めて簡単に転職し、また転職するほど能力が高いと評価されることです。したがって、より高い賃金を求めて、上司の方を見て仕事をすることは当然なことといえます。上司と馬が合えばどんどん昇級し給料も急増していきますが、相性が悪ければ即転職の道しかありません。
3.現地企業へ委託生産の課題
(1)検収基準
委託生産する場合には多くの課題がありますが、先ず委託品(以下製品という)の検収基準を明確にすることです。製品の重要な品質の検査方法、品質基準(検査規格)、測定機器や測定基準など注意深く規定しておき、合否の判断の相違が生じない配慮が必要です。
(2)技術供与と第三者流失防止の問題
よい製品を作るには、製品に関する技術の提供が必要になります。設計図面、製作図面、加工図面、、設備仕様図、工程表、作業マニュアルなどがあげられます。このような技術ノウハウは、企業の外部(第三者)に流失しないようにすることが肝心です。この「技術の流失防止」手段をどのように講じるかは委託企業(発注企業)の重要な課題です。
(3)設計変更
現地製作の場合、品質や価格問題等が生じるのは、材料の変更、加工の変更などがあります。特に現地で調達できない材料などがあると勝手に材料変更が行なわれるので注意が必要です。このような設計図面と異なる事態が生じた場合の対応(設計変更手続きなど)についても契約でしっかり取り決めておく必要があります。
(4)技術供与契約と技術対価
製品を委託生産会社が、販売も行う場合、提供する技術供与の対価を取り決めます。「委託生産契約」は、注意深く契約を行うことが重要ですが、その中でも技術供与に関する契約は重要な契約になります。どんな技術を供与するか、機密保持の規定、技術料(技術の対価)などを明確にして契約を行うようにします。
(5)技術者派遣、研修生受け入れ
製品の品質確保や生産技術移転、作業技能習得などを目的に現地工場へ技術者や技能員(現地作業指導員)の派遣や現地工場の基幹作業者をマザー工場での受け入れなどの契約を行う場合があります。現地工場での製品の立ち上げを支援する契約は重要な取り決めになります。
4.委託生産工場の選定
製品の委託生産工場の選定は最も重要な課題であることはいうまでもありません。選定のポイントは、
@現地企業の経営者がパートナーとして信頼できること
A企業の経営状態(儲かっているかどうか)とその経営数字が開示できること。(あるいは、その偽装を見抜く力が必要)
B企業の内容と技術水準の調査(例、製造品質、賃金水準、技術力、従業員の内訳、関連企業先、工場の概要調査など)
C各種の契約が対等条件で結ぶことができること
D委託製品の生産状況を誠実に報告又は開示できること
その他、委託製品の内容によっては、上記以外にも特別に必要な調査項目が生じます。
5.製品の販売(納入)の課題
現地生産品(設備機器などの製品)をお客様の工場に納入するような場合、最も注意する必要があります。なかなか検収がされず代金の回収ができないことも少なくありません。
@お客さま(納品先)の製品仕様や検収基準をしっかり事前に取り決める
A設計変更の手続きやその費用負担を明確にする
B試作(試運転)時の問題発生の場合、その処置についての取り決め(特に改修、変更、その費用負担など)
C現地の設備との取り合いがある場合の取り決め
D製品の不具合が生じた場合の対応(問題点の開示や保証内容の取り決めなど)
その他想定外のトラブルが発生しても対処できるようにしておくことが必要になります。
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