QC7つ道具

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 工長は7つ道具を活用しましょう

 QC7つ道具は、監督者には自由自在に使えるようになって欲しい道具です。職場のいろいろな問題や課題をデータで掴み、それを目に見えるようにすることが改善への第一歩になります。同時に、7つ道具は力強い監督者の味方でもあるといえます。









 

 目  次

1.統計的な考え方の基礎知識
1.1 データの層別
1.2 サンプリング
1.3 母集団とは
 

1.4 生産ロット
1.5 データを扱うに当たって注意すべきこと

2.QC7つ道具の内容

3.グラフ

4.パレート図
4.1 
パレート図の作成
4.2 ABC分析(ABC管理)布
4.3 Aランクの優先取り組み

5. ヒストグラムと正規分
5.1 ヒストグラムとは
5.2 正規分布曲線の作成

6.管理図
6.1 管理図とは
6.2 管理図の構成
6.3 管理図の帳票設計
6.4 一点管理図(X管理図)
6.5 XバーR管理図
6.6 エックスメジアンR管理図
6.7 不良率管理図(P管理図)
6.8 不良個数管理図(Pn管理図)
6.9 欠点数管理図(C管理図)
6.10 欠点数管理図(U管理図)
6.11 管理限界線の計算

7. 特性要因図
7.1 4Mを取り上げる
7.2 特性要因図の書き方
7.3 要因を図に示すには
7.4 最も影響の大きい要因
7.5 特性要因図の例

8. チェックシート
8.1 チェックシートの構成
8.2 品質チェックシート
8.3 点検チェックシート
8.4 点検作業マニュアル の準備
8.5 チェックシートの記録の整理と問題点の改善
8.6 終業チェックシート

9. 散布図
9.1 データの関係を図に示す
9.2 相関係数
9.3 工数低減曲線

 

QC7つ道具とは
 QC7つ道具具はよく知られている手法です。現場の状況をデータで掴むことを監督者としても心がけたいことです。現場の生産作業状態や部下の
仕事を目に見えるようにする手法が「QC7つ道具」と呼ばれているものです。そして、これを使って改善を推進していくことが必要です。

1.統計的な考え方の基礎知識
 
作業に関する状況をデータで見える化するのが統計的手法と呼ばれているものです。勘だけではなく、データで現場を把握する力が求めれれています。 

1.1 データの層別 層別の意味を理解しましょう 現場のデータを記録したり、その結果を分析する場合に層別」は、重要な事項です。例えば、作業者別、機械別、材料別といったように、同類(同じ層)のデータを扱うことが重要になります。この層別がしっかりできていないと、いろいろなデータが混在することになります。専門的な用語でいうと母集団が異なることになるからです。現場で起きるいろいろな問題を解決する場合でも、この層別して分析するというの考え方は不可欠です。

1.2 サンプリング

サンプリングは事前にやり方を決めておきます 加工や組立工程からその工程の加工品や組立品を抜き取ることをサンプリングといいます。よくいわれる「サンプルを取る」ことです。大切な点はサンプルの取り方を決めておかなくてはなりません。作業工程の品質検査のような場合は、通常はQC工程表に記載します。又は作業標準書に書いておきます。
 
<参考>

 無作為とは取り決めた方法でおこなうことです

(1)サンプリング方法
 ランダム(無作為)で抜き取るか、定時抜き取りか、一定の生産個数で抜き取るかなどのサンプリング方法を決めます。

@定時抜き取り例:
 9時、11時、13時(2時間毎に)
A
生産数で抜き取る例:
 100個目、200個目(100個生産毎に)
B基本はランダムサンプリングであるので、一つのロットの中からサンプルを取ります。

(2)サンプルの数

 
サンプルの数は、一般的には1〜5個が多いのですが、使用するQC道具で決めます。

 なお、完成製品の品質保証のための抜取検査は、JISZ9015等で決められているので、検査部門の検査基準書に基づいて行なう必要があります。

1.3 母集団とは
 
データを取り扱う場合、母集団という概念があります。これは層別された生産品全体の数量や、サンプルを取る製品の全体の数量を母集団といいます。毎日連続して生産する製品は無限母集団と呼びます。一方○月○日生産した500個の限定された生産品は、有限母集団と呼ぶことができます。サンプリングは、その母集団全体を推測するために、その母集団の中から一部の製品を取り出すことであるといえます。したがって、偏ったサンプリングや作為的なサンプリングは、正確な母集団をあらわさないことになります。

1.4 生産ロット(Lot)
 
層別された加工品や組立品の生産の始まりから終わりまでの全部をその「生産ロット」、生産数量を「生産ロット数」や「ロットの大きさ」といいます。例えば、〇月〇日生産ロット品とか、○○工場生産ロット品、Yメーカー納入ロット品というような表わし方をします。ロットには、記号や番号をつけて識別や追跡調査が出来るように配慮しています。

1.5 データを扱うに当たって注意すべきこと
 データには、、必ず誤差やミスがあります。100%正しいと思ってはならないものです。職場でデータを記録する作業者やそれを集計、計算する担当者等のミスや意図的な操作も時には起こるからです。都合の悪い数値を勝手に書き換えるようなデータの偽装が問題にもなっています。
 データには、
異常値が出ることがあります。これを誤りとかで無視したり、除外することは避けなければなりません。その原因や理由を確かめることです。改善のきっかけになるかもしれません。一方、多くのデータがすべて検査規格(公差)に入っている場合も疑いの目を持たなければなりません。グラフや管理図などのデータの推移を見て、すべて公差内であるから正常だとして問題(異常)を見逃していることがあります。意図的なデータの修飾も起こるからです。このようなデータの潜在的な異常現象を感知するのは、監督者の現場を見る感覚が大切になってきます。

2.QC7つ道具の内容
 現場で使うQC7つ道具とはどんな道具かを次に示します。下図は、その要約です。

QC7つ道具の種類と概要 7つ道具の一覧表です

3.グラフ
グラフを自由自在に活用しましょう グラフ類は、いろいろな場面でよく使われています。また、グラフにはさまざまな形式があります。職場の状況を数値の羅列より、グラフ化することにより、分かりやすくなります。職場を見える化(可視化)するといえます。よく使われるのは、簡単で時系列な推移が見える折れ線グラフや棒グラフです。
 グラフは、関係者に分かり易く理解してもらえるので、うまく活用できるようにしておきたいものです。

 折れ線グラフは傾向が分かり易い

 右図は、折れ線グラフの例ですが、時系列な変化がよくわかります。なお、現場で使うグラフの例を下表にしてあります。






 グラフはエクセルにデータを表形式で記載すると簡単にいろいろなグラフが作成できるので利用すると良いと思います。

いろいろなグラフの特徴を掴んでください

4.パレート図
 
パレート図は、問題項目を浮き彫りにする重要な図表ですから、使ってみてください。

 パレート図は、ABC分析ともいわれます

4.1 パレート図の作成
 パレート図はデータを
大きい順に並べてグラフ化したものです。どの問題や原因が多いのか、データの比率が分かるのでよく利用されています。一般的に上位の2〜3項目が全体の過半数を占めることが多いので、これをAクラスとしています。そして、次の3〜4項目をBクラス、残りの項目をCクラスに分類しています。これをABC分析といいます。パレート図はエクセルでも作成できますので、大いに活用されることをおすすめします。


4.2 ABC分析(ABC管理)

 ABCは、重点管理項目や重要問題の取り組む優先度をデータによって、明確にする手法の一つです。次の図(パレート図)はその一例を示します。

 高い数値から3項目が多くの割合を占めています

 ある工場に納入される外注品のロット不合格の内容について調査したデータです。このデータをもとにパレート図を作成します。この結果、上位3項目の不良が全体の74%を占めていることが分かります。今後、この3項目を優先して、改善に取り組むことが必要なことを示しています。
 パレート図に似た分析法に
ABC分析があります。いつからABC分析と呼ばれることになったのか不明ですが、この分析法も活用されています。上記の例のように、
 ・Aランク:全体の60%〜70&以上を占める
 ・Bランク:10%〜20%を占める 
 ・Cランク:10%〜20%を占める
 このランク(又はグループ)分けは、およその区分ですが、取り上げる内容によって適宜区分していくことになります。

4.3 Aランクの優先取り組み
 材料や部品の在庫品、売上商品、得意先売上高などについて、ABC分析を行なって
Aランクを重点的に取り組むことがよく用いられています。その他、ABC分析は在庫管理や販売管理などにとっても重要な手法となっています。さらに、職場の不良原因、設備の故障内容などデータをABC分析手法を使うと改善すべき優先項目が明確になってきます。


5. ヒストグラムと正規分布

 工程の品質測定などで多くのデータを整理分析する方法の中で、よく使われるのがヒストグラムです。これを使えると大きな力量の差が出てきます。監督者として作りやすい方法を考えます。

5.1 ヒストグラムとは
 職場の品質や工程の状況をデータで見える化するなかでは、重要な手法が
ヒストグラムです。ある製品の測定データが50個ありそのヒストグラムを作ってみます。個々のデータ数値は省略しますが、最大値は5.07、最小値は4.94です。なお、例題はデータ数50ですが、できればデータ数100前後を目安とします。

(1)クラス分けの計算
 クラス(階級ともいう)数は10前後を目安として算出します。
  クラスの幅=(最大値−最小値)/10
        =(5.07−4.94)/10
        =0.13 
 これを0.2としてクラス分けします。

(2)境界値を決める
 検査規格(公差)の境界値を見ながら境界値を0.2幅で決めていきます。

(3)クラス分け
  検査規格5±0.05なので、4.95〜5.05を目安としてクラス分けしていきます。その結果を次に示します。

 チェックマークはいろいろ使われます

 クラス分けしたら、その中に入るデータを数えていきます。表のように記載します。次にその数を数えて合計数値を算出します。これを度数と呼びます。
 なお、クラス分けにあたっての境界値を設定する場合、未満や以上のといった区分のほかに、測定値の桁数を1けた増やして、その桁の半分(1/2=0.5)で境界値を決める方法もあります。上記の例では、
 4.925〜4.945
 4.945〜4.965
このようにすると境界値は4.945で明確にできます。

(4)ヒストグラムの作成
 図のようにクラス分けした度数を図にしていきます。このようにして、ヒストグラムを作成します。なお、ヒストグラムの作成は、クラス分けしないで個々のデータからエクセルで作成する方法もありますが、複雑な操作になりますから、現場では上記の方法がやりやすいと思います。

(5)公差の記載
ヒストグラムの境界は公差と合せることがポイントです 図に示すように公差を記載すると不良数値がどれくらい発生するか明確になります。
  
  

5.2 正規分布曲線の作成
(1)計算表の作成

 ヒストグラムから正規分布曲線を作成します。図に示すのは一つの方法ですが、計算表にしたがって計算します。これは、エクセル表で作成できますので、計算式さえ設定すれば簡単に表ができます。

 計算はエクセルを活用します

 図に示すように計算ができたら、平均値、標準偏差を算出します。なお、例に示す表から平均値は5.001、標準偏差は0.026となっています。

 

(2)正規分布曲線の作成
 上記のヒストグラム作成数値を利用して確率計算表を作ります。確率計算が完成すれば、黄色のデータを範囲に指定してから、「挿入」ー「散布図」ー「平滑線とマーカー」の順に選択して正規分布図を作成します。このグラフが下図に示してあります。なお、確率の計算式は、グラフの下図に記載してあります。これらはエクセルで計算されます。
 右表では、クラス区分を上下ともに広げてありますが確率が0近くになるまで追加したものです。(これはデータ数が少ないためです)
 正規分布図からすべてのデータが3σ内に入っていないことがわかります

正規分布曲線もエクセルから作れます
 正規分布ができました

上図から交点マークや目盛り線を削除すれば、右図のように滑らかな正規分布曲線ができます。


(3)不良率の推定

 正規分布曲線からデータを読んでみましょう

 例題から片側の公差さ0.05は、正規分布曲線では1.92σ(0.05/0.026=1.92)となります。したがって、正規分布表から0.027(両側で0.054、すなわち5.4%)の不良がでることが推定できます。)




(4)工程能力指数の計算
 工程能力(Process Capacity)は、生産量を示す場合と品質の場合がありますが、ここでは品質の工程能力を取り上げます。生産工程が製品(検査)規格に対して、満足する製品が作られているかどうかを判断する基準として、工程能力指数Cp:Process Capability Index)があります。

 工程能力指数(Cp)=規格の幅(公差)/(6×σ)
     
 例題では、Cp=0.1/6×0.026=0.64
となります。(この場合は偏りを無視した場合)
 なお、一般的にかたより(偏り)があるので、この場合Cpkは
   
Cpk=公差ー2絶対値(µーT)/(6×σ)
      
(注 データの平均値:µ、公差の中心値:T)
で示されます。
 例題では、平均値は5.001ですから
  Cpk=0.1−2(5.001−5.00)/6×0.026=0.63
となります。偏りを考慮した分Cpは少し悪くなっています。
 一般的な知識として6σ(±3σ、この場合の合格率は99.7%)では製品は100%合格品ができるとはいえません。そこで規格(公差)の幅の中に製品のばらつきが8σ(±4σ、この場合の合格率は99.994%)なら十分と考えられています。したが
って工程能力指数Cpが1.33(8σ/6σ)以上ならその工程は満足できると判断します。この数値はなかなか達成するのは容易でないのですが、納入先からはこれを達成するように求められることが多いのです。工程改善や作業改善などに取り組む必要が出てきます。

(5)統計数値表
 確率計算等は既に計算された数値表があります。

 数値表の例です  市販されている数値表を使いましょう
 数値表をうまく利用してください

 数値表は日科技連から出版されています。日常の仕事にもよく使われますから、一冊持っていると大変便利です。





6.管理図
 生産現場で使われる
管理図には、いろいろな種類があります。次にその概要を示します。

 いろいろな管理図の一覧表です

6.1 管理図とは
 生産工程の能力や作業者の作業方法などにより、製品のデータはバラツキが生じます。このバラツキを製品生産と同時並行して監視し、
公差を外れたり、異常傾向が見られたら即座に対策処置する手法が管理図です。管理図には、工程の未知なる実力(能力)を把握する「解析用管理図」とこれから得られた管理限界線などのデータを活用して工程を管理していく「管理用管理図」があります。

6.2 管理図の構成
 管理図では、データの
平均値(µ)とバラツキ(σ)の数値を使っています。その管理は3σを基本としています。この3σの中に99.7%のデータが含まれるので、この範囲なら正常な状態と考えていくものです。この考え方を図に示すと下図のようになります。

 管理図の構成を理解しましょう

6.3 管理図の帳票設計
現場で使えるように帳票又はソフトを作成します 生産工程や生産品などの内容により、使用する管理図の帳票設計を行います。製品の名称、検査方法、抜き取り方式、工程の名称、測定月日、期間など必要な項目を定めて帳票設計を行います。この帳票を日常の仕事の中で使うようにします。さらに、職場の中に掲示して、部下の全員が見えるようにするなどの配慮もしましょう。


6.4 1点管理図 (X管理図)

 管理図の例です

 1点管理図は、データが一つの場合に用いられる管理図(X管理図ともいう)です。この管理図は、サンプルが1回に1個の場合に使われます。右図は、1日に使用する電力量の管理図を作ってみました。バラツキは、前日のデータとの比較になります。現役時代には、私のタイムカードの出勤時間をX管理図にして、講習時に使用した記憶があります。データXは、その日の出勤時間、バラツキRは、前日の出勤時間との差を用います。

6.5 エックスバーアール管理図 

 よく使われる管理図です

 Xバーアール管理図は、一般的な計量値の管理図です。この場合、データの平均値を計算しなければならないのが面倒です。Rは、データの最大値ー最小値を計算してその差を記載します。
 そして、平均値の平均がXのバーバー(Xの上に2本の横棒をつける)となり、
バラツキRの平均値(Rバーという)を算出します。
 管理図では、UCLやLCLから外れたデータには、注意をしなければなりません。何らかの異常があるかもしれないからです。

6.6 エックスメジアンアール管理図 

 よく使われる管理図です

 この管理図は、メジアン(中央値)を平均値とするので、平均値の計算が不要です。現場では使いやすい管理図です。バラツキRは、データの最大値ー最小値で算出します。この管理図では、データをそのまま管理図に記載して、その中央値を平均値とするので現場向きといえます。

6.7 不良率管理図 (P 管理図)

 管理限界線に注意しましょう

 この管理図は、不良率を管理していきます。現場では、生産する数量や検査する数量が変化していくので、通常は不良率管理図になります。検査数量(すなわち、サンプル:n)が変わるので、管理限界線も変化することになります例えば、n-=100、n=150、n=80のように変化する場合に用いるものです。常にn=200というように一定の場合は、Pn管理図が使いやすいといえます。

6.8 不良個数管理図 (Pn 管理図)

よく使われる管理図です 

 このPn(ピーエヌと読む)管理図は、検査する数量が常に一定で変化しない場合に用いるもので、不良個数で管理することができるものです。したがって、管理限界線は一定になります。


6.9 欠点数管理図 (C 管理図)

よく使われる管理図です 

 この管理図は、検査する面積などサンプルの大きさが一定の場合の欠点数管理図です。
 したがって、管理限界線は、一定となります。なお、欠点数はサンプルの中に、0〜5含まれるようにします。検査するサンプルの大きさは変えないようにすることがポイントになります。例えば、自動車ドアーの塗装欠点数を管理する場合、大きさの異なるX車種C管理図、Y車種C管理図のように層別して管理するようにします。もし、すべての車種を一元的に欠点数管理を行う場合は、車種別に面積を算出して、単位面積当たりの欠点数を計算して、U管理図を用いることになります。


6.10 欠点数管理図 (U 管理図) 

 この管理図はサンプル数に注意が必要です

 このU管理図は、検査するサンプルの大きさがいろいろ異なる場合の欠点数管理図です。例えば、面積、長さ、大きさなどです。したがって、欠点数は、一定の単位当たりの欠点数に計算する作業が発生します。
 <例>ある日、完成した大きさの異なる絨毯を検査したところ、Aには大きさ2平方米に4個の欠点数があった。Bには同じく10平方米に12個の欠点数があった。この場合1平方米あたりに換算すると
  A+B=16欠点/12平方米=1.33欠点数/1平方米
となります。したがって、サンプルn=12平方米、欠点数U=1.33となります。次の日は、n=15平方米、欠点数U=1.20というように記録していきます。
 U管理図は、サンプルの大木さが異なるので、管理限界線は、毎日(又はロット毎に)変化することになります。.

6.11 管理限界線の計算
 管理図で必要な管理限界線の計算は、抜き取るサンプル数(n)で異なるので、専門的な統計計算が必要になります。これは、すでに計算された数値表がありますからこれを使います。
例えば、上に述べた日科技連の
数値表やJIS(Z9021)に記載されています。

7.特性要因図
特性要因図は魚の骨に似ています 特性とは、多くの意味をもっており、ひとことではいえませんが、製品の持つ性質、特徴や品質、作業(仕事)の方法、特徴、問題点その他機械設備の故障、性能、安全、製品の材料の特徴、性質など様々な項目が上げられます。例えば、塗装工程のゴミ付着とか設備のチョコ停といった特性要因を分析するのに使われます。よく講習会で課題として出される特性要因図は、「美味しいごはんの炊き方」です。このようにいろいろな課題や問題の取り上げもできるのです。

7.1 4Mを取りあげる
 美味しいごはんを炊く場合、先ず取り上げるのは炊飯器(一般的にいえば、機械や設備:Machine)次に炊く人(作業者:Man)の腕も考えます。次に米の銘柄です。美味しい米(材料:Material)です。そして、大事なものは、炊き方(方法、やり方:Method)が主な要因として考えられます。この
Mは常に取り上げられる要因となります。その他、安全や環境(温湿度)、経営者(管理者、監督者など)も上げることがあります。

7.2 特性要因図の書き方
 特性要因図の一般的な構成は、次のような内容です。

 特性要因図の構成と作り方を覚えてください


7.3 要因を図に示すには
特性要因図を描いてみましょう 特性要因を列挙するには、できるだけ関係者の意見や考え方を聞き、図に記載するようにしていきます。
 さらに、ある製品に取り扱いの「きず」の問題が起きた時、その原因を特性要因図にまとめる場合、先ず考えるのは「なぜ」起きたのか、さらにその原因は「なぜ」」か、またさらにその原因は「なぜ」なのかを5回繰り返せというのがトヨタ自動車の考え方の基本といわれています。これを特性要因図にまとめていくことからスタートします。

7.4 最も影響の大きい要因
 「特性」に影響を及ぼす要因の大きいものから対策や改善を進めていきます。ただ、さらにこの「要因」をさらに掘り下げていくために、この「要因」を特性として、さらに、特性要因図を作成することも行います。的を得た原因をつかみ、的確な対策を取ることが狙いであるといえます。特性要因図の中から、最も影響の大きい要因に赤丸をつけて対策や改善に取り組んでいきます。

7.5 特性要因図の例
 次に示すのは、「美味しいご飯の炊き方」を特性に選んで作成した特性要因図の一例です。

 特性要因図の例です

 このような特性要因図から、特性に選んだ美味しいご飯の炊くの一番要因の大きい項目を選んでさらに原因を追求することになります。例えば、お米の銘柄が一番要因が大きいとすれば、どの銘柄が一番良いかを検討していくことになります。また、電気釜の要因が大きいとなれば、電気釜の選定について検討することになります。具体的には、いろいろ炊いてみたご飯のおいしさをデータに取って判断していくことになります。

8.チェックシート
 チェックシートは、
手抜かりがないか確認する道具であり、さらに、仕事の計画や結果を見える化するものです。材料や製品の欠点部位を記録集計してデータ分析を行なうことや、設備機械の点検結果を記録して点検漏れがないようにすることなどいろいろな仕事に使われています。

8.1 チェックシートの構成

チェックシートの構成を理解しましょう チェックシートは文字通りチェック項目とその結果を記録するもので、チェックする時期(日時)も記録するようにします。
 ここで重要な点は、品質特性や点検対象物などのチェックする内容すなわち、チェック項目です。



8.2 品質チェックシート
いろいろな仕事に合ったチェックシートが作れます 品質チェックシートは、よく使われています。チェック項目、欠点又は不良の部位などを決めておきます。この結果をC管理図などに転記して管理していくことです。さらに、不良の内容をABC分析を行い、重点項目のたいさくや改善を進めていきます。なお、チェックシート図もわかりやすく改善のヒントを高めることにつながります。

8.3 点検チェックシート
 機械や設備の点検でよく使われるのは、点検用チェックシートです。特に、作業の開始前に、始業点検として機械ごとに重要な部位の点検を行うものです。

 チェックシートの例です

 点検のためのチェックシートはいろいろなものがありますから、企業で規定を設けて実施するようにしていきます。


8.4 点検作業マニュアルの準備
 点検作業には、当然そのやり方(点検方法)の
マニュアルを作る必要があります。何を、どこを、どのように点検するか、使用する工具、保護具、なども記載することです。特に、重要な部位の点検作業には必須です。点検におけるキーワードは、次のような例があります。
・動きがスムーズ、・.・ボルトナットのゆるみや脱落、・割れや亀裂、・変形、・漏れ、・汚れ、・ランプ類の切れ、・紛失、・外れなど。

8.5 チェックシートの記録の整理と問題点の改善
 チェックの結果、問題点が指摘されたら監督者は、直ちに作業者に必要な指示を行い。関係部署と連携してその対策や処置を迅速に行わなければなりません。さらに、1か月程度を目途にデータを集約して、ABC分析を行うなどして、重大な問題項目の改善を図っていくような取り組みを行うことです。このようにチェックシート活用していくことが、その企業の技術の向上に大きな役割を果たしていきます。

8.6 終業チェックシート
 始業点検は一般によく行われていますが、
終業点検は少ないように思います。仕事が終われば、すぐ帰るのではなく、終業点検を行って退社するようにしなければなりません。終業以降は誰も現場にいないという状態が続くので、異常が発生しても発見が遅れ、火災や機械設備の損傷などが発生してしまいます。
 よく発生しているのが、工事等で使った溶接の残火が数時間経って火災発生となったことや停止していた発電用の風車の非常用電源を切ったため、安全装置が働らくなくなり強風で風車が倒壊した例があります。火元の確認、切ってはいけない電源、締めてはいけない配管のバルブなど、終業時に確認すべき事項はチェックシートやその点検作業はマニュアルで確認するようにします。間違いやすい場合は、明確な標識、注意標識を設置するなどの対策を行います。


9.散布図
 身長と体重のようなデータXとデータYが一定の関連が見られるかどうかを調べるのによく用いられるのが散布図です。あるいは相関図とも呼ばれています。

9.1 データの関係を図に示す
 サンプルの関係するデータを図に示すとその状況が見やすくなります。大きく分けると、正の相関、負の相関、相関なしに分類できます。

 二つのデータの関係を示した図です


9.2 相関係数
 関連する二つのデータの関係の強さを相関係数と呼びますが、その図を次に示します。 

 特別な関係がある場合の例です

 散布図に表われる相関は、右上がりはプラスの相関が、右下がりの場合マイナス相関があるといいます。これを相関係数で表わします。相関係数の計算はエクセルで行なうことができます。
 <相関係数>

 相関の違いがよくわかると思います

・0〜0.2 ほとんど相関がない
・0.2〜0.4 やや相関がある
・0.4〜0.7 相関がある
・0.7〜0.9 強い相関がある
・0.9〜1.0 ほぼ完全な相関がある

 なお、負の相関の場合はマイナス(ー)で示します。

 監督者が現場で使う場合は、上図に示すように散布図を作って判断するようにします。なお、外れのデータが一点でもあると相関係数は変わってきますから、データの吟味が必要になります。

9.3 工数低減曲線
 現役時代に作成した
工数低減曲線を参考に示します。新規製品の生産立ち上がり段階は工数がかかります。図は対数グラフですが、生産数量をこなすに従い工数は低減していきます。一般にいわれる習熟曲線です。ここでは、如何に早く標準時間でできるように工数を低減できるようにするかが、技術者と監督者の仕事です。

 作業工数低減を図に示したものです
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